衆議院議長とは?―国権の最高機関の長とは何なのか?(11)

衆議院議長とは?―国権の最高機関の長とは何なのか?(11)

岸井和
2022.03.21

3議長は何をしているのか
 (2)議長の職務権限
  ③事務監督権
  ④秩序保持権
   ⅰ議院内部の警察権
   ⅱ会議中の秩序保持権

3議長は何をしているのか

(2)議長の職務権限

③事務監督権

事務監督権としては、事務総長に対する監督(国会法28条1項、議院事務局法2条)、法制局長の任免とこれに対する監督等(国会法131条3項~5項、議院法制局法2条)、部長等の任命同意(議院事務局法4条~5条の2、議院法制局法4条~5条の2)、国立国会図書館長の任免(国会図書館法4条)、国会職員や議員秘書の給料・手当・災害補償等についての決定(国会職員法25条~26条の2、秘書給与法3条3項、18条~20条ほか)などがある。国会予備金の管理者でもある(国会予備金法1条)。議長は議院行政に関する事務の責任者であり、国会内部の規程の改定等についても形式上は主として両院議長が協議して定める形でその権限が委任されている。事務監督権は帝国議会時代の議院法にはなかったが国会法になって明記されるようになった1)議院法では「第10條 各議院ノ議長ハ其ノ議院ノ秩序ヲ保持シ議事ヲ整理シ院外ニ對シ議院ヲ代表ス」「第11條 議長ハ議會閉會ノ間ニ於テ仍其ノ議院ノ事務ヲ指揮ス」と秩序保持権、議事整理権、議院代表権、そして事務監督権ではなく閉会中の事務指揮権が規定されていた。

たとえば、衆議院の予算についてみてみると、原案を作るのは事務局であり、それは議院運営委員会で協議される。議会雑費(委員長手当)や文通費などについては各党で意見が分かれ、議員宿舎建設のように大規模な施設建設については突っ込んだ議論が行われる。予算案は財務省に持ち込まれるが、他省庁の大臣折衝にあたるものは、財務大臣と議院運営委員長との間で行われる。その後、総予算の一部として内閣から提出される。議長は内容についての説明は受けるが、手続きの過程には実質的には組み込まれていない。事務監督権についても議院運営委員会(委員長)が議長の権限を委任され、事務局ももっぱら議院運営委員長の了解のもとに活動している。

 

④秩序保持権

議長の秩序保持権は、大きく分けて議院内部の警察権(国会法114条)と会議の秩序保持権(同116条)がある。

 

ⅰ議院内部の警察権

議院内部の警察権は議長警察権ないしは議院警察権と言われ議長に属し2)衆議院では会期毎に議院運営委員会に院内の警察及び秩序に関する小委員会が設置されているが、小委員長に警察権が委任されているわけではなく、必要に応じて院内の警備強化や通行証の取り扱い等について協議をしている。、行政が議会に干渉することを防ぐ目的がある。議長警察権の及ぶ範囲は、衆参それぞれの議院とそれに付属する施設であるが、具体的には国会議事堂の塀で囲まれた敷地内であり、その外部、たとえば議員会館などは範囲外とされている3)平成29年版衆議院先例集553議員会館及び議員宿舎は、議院警察権の範囲外とする。
平成25年版参議院先例録453議院警察権の範囲は、議事堂の囲障内とする
※衆議院では1967年の石井議長から法務大臣への申し入れにより、検察当局が議員会館を捜査差押さえする際には、あらかじめ議員会館の管理権者(管理委員会は委員長に議院運営委員長が、委員には同理事が充てられる)に必ず連絡ないし通知をしてから行うこととなった。
。当然のことながら、各院の警察権であり、衆参は別々の警察権を持っている。

議院警察権は、国会職員である衛視及び議長の要求により内閣から派出され、議長の指揮を受けた警察官(同115条4)国会法第115条 各議院において必要とする警察官は、議長の要求により内閣がこれを派出し、議長の指揮を受ける。
※従来は開会中のみ認められていたが、1955年の国会法改正により、閉会中開会中問わず警察官が国会構内の詰め所に派出されている。
)
が執行する。

 

〇警察官の出動

派出要請を受けても警察官は議事堂内や別棟の委員室のある建物には入らないことを原則としている5)衆議院規則で警察権は以下に規定され、警察官は原則として議事堂外の警察を行うこととされている。
第208条 議長は、衛視及び警察官を指揮して議院内部の警察権を行う。
第209条 衛視は、議院内部の警察を行う。
2 警察官は、議事堂外の警察を行う。但し、議長において特に必要と認めるときは、警察官をして議事堂内の警察を行わせることができる。
第210条 議院内部において現行犯人があるときは、衛視又は警察官は、これを逮捕して議長の命令を請わなければならない。但し、議場においては、議長の命令がなければ逮捕することはできない。
。そこにおいては衛視が警察権を行使している。しかし、与野党の対立が極度に暴力的となり、衛視のみでは秩序の維持、議事の進行が困難であるとして、例外的に衆議院議長が警察官を議事堂内に入れたことがある。平時の警備のための警察官の派出要請はともかく、与野党の暴力的対決時の警察官導入は議長にとって最終的な手段で、もっとも重い決断であり、この場合については議院運営委員長の守備範囲を超える。

 

・1954年警察法改正

1954年の第19回国会において、警察組織の抜本的改革を図る警察法改正案の審議が難航していたため、与党は6月3日深夜に会期延長を強行しようとした。社会はこれに激しく反発、議場周辺は大混乱に陥った。堤康次郎議長は200人の警察官の出動を要請し、議長の本会議入場を阻止しようとする社会議員や秘書団の排除に当たらせた。堤議長は議長席にはたどり着けず、かろうじて議場内に入って2日間の会期延長を宣告した(この議事録はとれていない)。

なお、この時、警察官は議場内にまでは入っていなかった。2年後の1956年6月2日の参議院本会議での新教育法委員会法案審議の混乱時には、松野鶴平議長は500人の警察官出動を要請、うち、20人が議長の指示により本会議場にも入り議長席の防御にあたっている。警察官が議場内に入ったのはこのときが初めてである。

 

・1960年日米新安保条約(国会の攻防(5)参照)

1960年の新日米安保条約のときも同様に警察官の導入に至った。5月19日、与党は条約の審議のため会期延長を申し入れ、社会は本会議の開会を阻止しようと、清瀬一郎議長を議長室に軟禁した。議長は院内放送を通じて議長室前廊下からの退去を呼び掛けるも、ついに警官隊の派遣を要請し、野党議員などを廊下から排除したうえで、午前零時前に衛視に守られて議長席に着き、会期延長の件を議決した(延会的散会後、翌日の零時過ぎに新安保条約承認議決)。

この時期の与野党の暴力的対立は度を越したものがあり、言論の府の議長としても苦渋の決断であったことは間違いない。しかし、与党の圧力に負けて本会議を強引に開いたこと、行政府の提出した案件のために行政警察の力を借りたことは、議会の自律という面からも批判を浴びざるをえない。議会への信頼、議長の権威が大きく揺らいだが、さすがに与野党ともに問題は感じており、以降、警察官導入には至っていない。強行採決の混乱の際も、衛視によって秩序回復を図るようになった。

 

〇傍聴人等の取り締まり

その他、傍聴人・参観人などに対する規制、取り締まりも議長の権限であるが(国会法118条、118条の2)、実際には衛視がこれを行っている。傍聴人規則などに基づき、たとえば、傍聴人が騒いだ場合には衛視が議長の指示を待つことなく傍聴人を退席させる。なお、1958年10月17日の衆議院本会議において傍聴席から社会を侮辱するビラがまかれ、同党所属の淺沼稻次郎が星島二郎議長に質したところ、議長は遺憾の意を示して、衛視が直ちに取り押さえた犯人に対して適当な処置をする旨の答弁をしたことがある6)「・・・議長といたしましては、国会の議場は最も神聖なる場所であることは今さら申し上げるまでもありません。それが、ただいまのようなことで、その神聖を冒されることは、まことに遺憾にたえないところであります。犯行者は直ちに取り押えまして、ただいま取調べ中であるとのことでありますが、いずれ適当の処置をいたすつもりであります。また、今後は一そう院内の取締りに万全を期する所存でございますから、御了承いただきます。」(1958年10月17日衆議院会議録)

 

ⅱ会議中の秩序保持権

会議中の規律の保持も議長の権限である。会議中議員が国会法・議院規則に違反し、その他議場の秩序をみだし、又は議院の品位をけがす行為をしたときは、警戒し、制止し、又は発言を取り消すことができ、その命に従わない議員に対し、発言を禁止し、又は議場外へ退去させることができる7)国会法第116条 会議中議員がこの法律又は議事規則に違いその他議場の秩序をみだし又は議院の品位を傷けるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、議長は、当日の会議を終るまで、又は議事が翌日に継続した場合はその議事を終るまで、発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。

だが、よほど明白な違反行為でない限り、議長が直ちにこの権限を行使することは実際にはない。議会は政党政治の場であり、一方から見れば違法でも他方から見れば合法との判断をすることも可能な場合が多々あり、直ちに議長の判断が下されることはほとんどない。問題が生ずれば、与野党の代表からなる議場内交渉係が協議し、それでも話はまとまらなければ、大概の場合、事後の議院運営委員会での預かりとなることが多い。

 

〇発言の中止命令、降壇命令

事例として多いのは、本会議で決められた発言時間を超過したような場合である。議長は「時間を超過しているので結論を急いでください」「制限時間が終わったので発言を終わってください」と催促する。ここまではときどきある。さらには「発言の中止を命じます」8)議長が発言の中止を命じると、その後の当該議員の発言は会議録に掲載されない。「降壇を命じます」と注意を繰り返し、次第に厳しくなっていく。降壇までを命じるのは珍しい。

だが、1992年6月13日(第123回国会)の本会議はさらに厳しかった。PKO法案関係で議院運営委員長解任決議案が議題となっていたが、菅直人(進歩民主連合)は解任賛成の討論を延々と続けたため、村山喜一副議長は降壇を命じた。しかし、これにも応じなかったため、「衛視執行」を命じた。つまり、菅は衛視によって演壇から引きずり降ろされた。意図的に演説を止めずに演壇から引きずり降ろされるまで徹底的に抗戦したというパフォーマンスであったが、社会出身の村山副議長としては困惑したであろう。内心はともかく、ルールは守るべきと副議長の職務を果たさざるを得なかった。これも国会法116条に基づく議長の権限である。(国会の攻防(16)参照)

 

〇議長席の号鈴

議長席には号鈴が置かれている。議場が騒然としたとき、議長のみが鳴らすことができる。衆議院規則では「議長が号鈴を鳴らしたときは、何人も、沈黙しなければならない(218条)」とある。議場が騒然となることはしばしばあるが、号鈴が鳴らされることはほとんどない。

戦後の国会になって号鈴を鳴らした例は2000年11月20日(第150回国会)の衆議院本会議しか正式には記録されていない。森内閣不信任決議案に対する石井一(民主)の賛成討論にあたり議場が騒然とする中、綿貫民輔議長が号鈴を鳴らし、議事が継続された。しかしこの後、反対討論をしていた松波健四郎(保守)は、野党からのヤジに激昂しコップの水を野党席にぶちまけたため本会議の続行は不可能となった。

 

〇議場からの退場命令、議長職権による懲罰委員会に付するの件

会議中、議員が議場の秩序をみだしたことで、議長が国会法に基づき退場を命じたことがある(116条)。非常に強力な権限であり、一般的には与野党激突の最中、議員、特に野党議員に対する一方的制裁とも受け取られ、さらなる対立を生じ混乱を増幅しかねないので、戦後初期には数例見られたが、現在はこの権限を行使することはほとんどない。

退場命令と同様に強力なものとして、議長職権によって懲罰委員会に付することもできる(衆院規則234条など)が、近年では上記のときの綿貫議長しかない。本会議再開後、議長は松浪に対し懲罰委員会に付すことを宣告するとともに退場を命じた。退場のみならず議長の職権で懲罰委員会にかけることは異例9)懲罰については、懲罰事犯があると、通常は議員から40人以上の賛成者を得て懲罰委員会に付するの動議が提出される。この動議の取り扱いは議院運営委員会で協議され、協議がまとまれば議院の会議で懲罰委員会に付するか否か本会議で採決される。懲罰動議は与野党対立のなかでしばしば提出されるが、本会議の採決にまで持ち込まれることは多くはない。動議を提出して牽制することを目的とすることが多い。懲罰委員会に付されると、その審査を経て、戒告、陳謝、登院停止、除名といった処分が本会議に報告され、その議決により最終的に処分が決まる。松浪の場合は25日間の登院停止となった。であったが、与党議員であったためこの件に限ってはさらなる与野党対立悪化にはつながらなかった10)松浪の退場問題ではなく、本会議の混乱を理由に議長不信任決議案が提出された。内閣不信任決議案への加藤の乱が不発に終わったが、野党としては最後の抵抗を試みたわけである(国会の攻防(19)参照)。。なお、のちに詳述するとおり加藤鐐五郎議長は社会議員を職権で懲罰委員会に付したことをきっかけに辞任に追い込まれた(衆議院議長とは?(6)も参照)。

衛視執行、退場、懲罰などは議長が主導権をとって進めたかのように表面上、少なくとも会議録上は見えるが、実際は議場内での交渉、議院運営委員会理事会で与野党の協議の上で行われており、そこでは議長の判断も斟酌はされるが、議長単独で結論を出して進めることはあまりない。議事運営も議院運営委員会によって管理されており、与野党の合意に基づき、なるべく議長が与野党対立の渦中に巻き込まれないようになっている。

 

〇その他

秩序保持権に分類するのが適切かどうか疑問の余地があるものもあるが、議員の議席の指定(衆規14条)、閉会中の議員辞職の許可(国会法107条但し書、開会中は本会議の議決による)、7日以内の議員の請暇の許可(衆規182条、7日を超えるものは議院の許可)、演壇への登壇許可(同217条)、議場での杖等の使用許可(同213条但し書)、傍聴人の身体検査(同228条)、取り締まりのための傍聴人の人数制限(同230条)なども議事主催者としての議長の権限にあたる。これらのほか、閉会中の常任委員長辞任 (国会法30条条但し書、開会中は本会議の議決による)、委員の異動(委員の選任・辞任) (衆規37条)、委員派遣 (同55条)、公聴会開会 (同78条)、国政調査 (同94条)などの委員会活動に関わるものも議長の許可が必要になる。ただ、実際にはこれらも各会派、各委員会等からの申し出及び議院運営委員会の判断に基づいて行使される。

さらに、議員が杖を使用する際の許可、ラジオやテレビ中継の許可もほとんどのケースは事務方に委任しているが議長の権限として扱われている。

脚注

脚注
本文へ1 議院法では「第10條 各議院ノ議長ハ其ノ議院ノ秩序ヲ保持シ議事ヲ整理シ院外ニ對シ議院ヲ代表ス」「第11條 議長ハ議會閉會ノ間ニ於テ仍其ノ議院ノ事務ヲ指揮ス」と秩序保持権、議事整理権、議院代表権、そして事務監督権ではなく閉会中の事務指揮権が規定されていた。
本文へ2 衆議院では会期毎に議院運営委員会に院内の警察及び秩序に関する小委員会が設置されているが、小委員長に警察権が委任されているわけではなく、必要に応じて院内の警備強化や通行証の取り扱い等について協議をしている。
本文へ3 平成29年版衆議院先例集553議員会館及び議員宿舎は、議院警察権の範囲外とする。
平成25年版参議院先例録453議院警察権の範囲は、議事堂の囲障内とする
※衆議院では1967年の石井議長から法務大臣への申し入れにより、検察当局が議員会館を捜査差押さえする際には、あらかじめ議員会館の管理権者(管理委員会は委員長に議院運営委員長が、委員には同理事が充てられる)に必ず連絡ないし通知をしてから行うこととなった。
本文へ4 国会法第115条 各議院において必要とする警察官は、議長の要求により内閣がこれを派出し、議長の指揮を受ける。
※従来は開会中のみ認められていたが、1955年の国会法改正により、閉会中開会中問わず警察官が国会構内の詰め所に派出されている。
本文へ5 衆議院規則で警察権は以下に規定され、警察官は原則として議事堂外の警察を行うこととされている。
第208条 議長は、衛視及び警察官を指揮して議院内部の警察権を行う。
第209条 衛視は、議院内部の警察を行う。
2 警察官は、議事堂外の警察を行う。但し、議長において特に必要と認めるときは、警察官をして議事堂内の警察を行わせることができる。
第210条 議院内部において現行犯人があるときは、衛視又は警察官は、これを逮捕して議長の命令を請わなければならない。但し、議場においては、議長の命令がなければ逮捕することはできない。
本文へ6 「・・・議長といたしましては、国会の議場は最も神聖なる場所であることは今さら申し上げるまでもありません。それが、ただいまのようなことで、その神聖を冒されることは、まことに遺憾にたえないところであります。犯行者は直ちに取り押えまして、ただいま取調べ中であるとのことでありますが、いずれ適当の処置をいたすつもりであります。また、今後は一そう院内の取締りに万全を期する所存でございますから、御了承いただきます。」(1958年10月17日衆議院会議録)
本文へ7 国会法第116条 会議中議員がこの法律又は議事規則に違いその他議場の秩序をみだし又は議院の品位を傷けるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、議長は、当日の会議を終るまで、又は議事が翌日に継続した場合はその議事を終るまで、発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
本文へ8 議長が発言の中止を命じると、その後の当該議員の発言は会議録に掲載されない。
本文へ9 懲罰については、懲罰事犯があると、通常は議員から40人以上の賛成者を得て懲罰委員会に付するの動議が提出される。この動議の取り扱いは議院運営委員会で協議され、協議がまとまれば議院の会議で懲罰委員会に付するか否か本会議で採決される。懲罰動議は与野党対立のなかでしばしば提出されるが、本会議の採決にまで持ち込まれることは多くはない。動議を提出して牽制することを目的とすることが多い。懲罰委員会に付されると、その審査を経て、戒告、陳謝、登院停止、除名といった処分が本会議に報告され、その議決により最終的に処分が決まる。松浪の場合は25日間の登院停止となった。
本文へ10 松浪の退場問題ではなく、本会議の混乱を理由に議長不信任決議案が提出された。内閣不信任決議案への加藤の乱が不発に終わったが、野党としては最後の抵抗を試みたわけである(国会の攻防(19)参照)。

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