国会の活動―減少する会期日数と本会議回数(2)
岸井和
2026.09.04
2会期・本会議回数からみる国会の活動
(1)年間会期の長短の理由とその事例
2000年から2025年までの26年において、年間の国会の会期日数は最短180日(2021年)から最長289日(2011年)の間で推移している。平均値は約227日である。その時々の状況に応じて長期間であったり、短期間であったりする。
常会の150日は法律で決められているが、それを除いて会期日数を決めるのは、前述のとおり法律上は国会だが、実際には政府与党である。政府与党は抱えている政府提出案件を最短の日程で議了しようと努力する。総理以下の内閣、政府の国会出席や答弁準備などの負担を抑えるとともに、概して野党の追及等により政府与党の評判が低下する国会開会中の期間を短くしようと考えるからである。
しかしながら、対抗する野党がいる以上、政府与党の思惑がそのまま通用するわけではない。与野党の勢力差の程度、閣法の数、重要法案・対決法案の有無、自然災害、政府のスキャンダル、政府与党内のいざこざなどによって、政府与党の思い描いている日程は修正を余儀なくされる。時間のかかる与野党の協議、大臣不信任決議案、委員長解任決議案、審議拒否、牛歩・徹夜国会は野党にとっての武器であり、その前提となっているのが会期という活動期間の枠である(ただし、2000年以降は徹夜国会はほぼなくなり1)徹夜国会に関しては、2000年以降も会期末に法案の審議未了を狙って参議院で行われた。2013年の特定秘密法案、2015年の平和安全法制の本会議採決にあたっても徹夜となった。しかし、深夜時間帯を避けるため途中休憩をはさむなどかつての社会党のような過激な抵抗はなくなった。ねじれ国会のように参議院で野党が優勢の場合は徹底抗戦は行わず、粛々と否決するか、採決を行わない。、牛歩は一部小会派が行っただけであるため本稿では言及しない)。
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年間会期が長期にわたった例
26年間の国会会期の平均227日に対し、大きく上振れして249日(平均値の110%)以上となったのは、2002年(249日)、2007年(279日)、2008年(264日)、2011年(289日)、2012年(251日)の5回である。その会期の状況によるところが大きいが、26年間の前半に集中している。
・2002年については、26年間で最多の175本もの閣法が提出された。これに伴い、衆議院本会議71回、参議院本会議57回となり26年間の最大値である。
・2007年は9月召集の第168回臨時会が異例の越年の128日(うち、年内は113日)と長期となった。まず、夏の参院選挙の自民敗北を経て、国会冒頭で安倍総理が辞任を表明し、次の福田総理を選出するまで自民内の手続きなどのため約3週間の空白があった。福田総理の下では「衆参ねじれ」国会により新テロ特措法(旧テロ特措法は時間切れ失効、自衛隊は撤退)の参院審議が難航、衆院での「参院に対するみなし否決→衆院での再議決」2)憲法59条②により、衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。④参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。の時間を確保せざるをえなかったため3)新テロ特措法案は、衆議院で10月23日に審議入りし11月13日に衆議院を通過した。参議院では「みなし否決」期限ぎりぎりの翌年1月11日に否決され、直ちに衆議院で再議決の上成立した。(会期最終日は1月15日) 会期を長くとるしかなかった。
・2008年は、前年からの会期の続き(15日間)あったことに加え、秋の第170回臨時会が93日と比較的長かったことによる。常会会期末の6月には参院にて福田内閣総理大臣問責決議案が初めて可決された。福田から麻生に総理が交代しても衆参ねじれによる審議時間の長時間化は避けられず、新テロ特措法の改正案は12日間で衆議院を通過したが参議院では議案送付後53日目に否決され同日の衆議院の再議決により成立にこぎつけた4)新テロ特措法改正案は、衆議院では10月21日可決、参議院では12月12日否決。(会期最終日は12月25日) 。
・2011年は常会の会期が220日と長期となったことによる。東日本大震災への対応5)常会に東日本大震災関連として閣法が新たに26本提出されたほか、補正予算も3次まで編成されている(常会2、臨時会1) 、参議院予算審議中の自然休会(総予算は年度内に成立)、民主の菅政権退陣を巡るゴタゴタなどがあり、その後も会期延長を巡る反発から国会の空転もあった。会期末には野田総理に交代した。
・2012年は、社会保障と税の一体改革関連8法案6)社会保障と税の一体改革関連法案の衆議院の審議開始は5月11日、6月15日の民自公の実務者合意を経て、衆議院通過は6月26日となった。8月9日には衆議院で内閣不信任を否決し(自民、公明が採決に参加せず)、参議院で可決成立は8月10日と衆参で3か月の日数を要した。の審議などのため常会が229日となった。与党民主は参議院で少数与党であり、党内は分裂し、支持率も大きく低下している状況の中で野党の自民、公明との協議に多大な労力を要した。
なお、常会が最も長かったのは2015年第189回国会の245日である。平和安全法制7)平和安全法制関連2法案の衆議院の審議は5月26日から7月16日まで、参議院では9月19日の本会議で可決成立した。参議院本会議は17日に始まり、野党は解任決議案、問責決議案、議長不信任決議案など5つの決議案を提出して抵抗し、19日未明になってようやく本案が可決された。(会期終了は9月27日) などの審議のために長期間となった。この年は、臨時会が開かれておらず、年間会期日数も245日である。
②年間会期が短かった例
これに対し、会期が205日(平均値の90%)以下であったのは、2017年(190日)、2020年(194日)、2021年(180日)、2023年(205日)、2024年(190日)の5回である。いずれも26年間の後半に集中している。
これらの年はいずれも常会は延長されず150日で終わっている。2017年、2021年、2024年は、9月末あるいは10月に衆議院が解散されたため秋の臨時会が短い(一般的には秋の臨時会が1か月半ほど開かれている)。
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脚注
| 本文へ1 | 徹夜国会に関しては、2000年以降も会期末に法案の審議未了を狙って参議院で行われた。2013年の特定秘密法案、2015年の平和安全法制の本会議採決にあたっても徹夜となった。しかし、深夜時間帯を避けるため途中休憩をはさむなどかつての社会党のような過激な抵抗はなくなった。ねじれ国会のように参議院で野党が優勢の場合は徹底抗戦は行わず、粛々と否決するか、採決を行わない。 |
|---|---|
| 本文へ2 | 憲法59条②により、衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。④参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。 |
| 本文へ3 | 新テロ特措法案は、衆議院で10月23日に審議入りし11月13日に衆議院を通過した。参議院では「みなし否決」期限ぎりぎりの翌年1月11日に否決され、直ちに衆議院で再議決の上成立した。(会期最終日は1月15日) |
| 本文へ4 | 新テロ特措法改正案は、衆議院では10月21日可決、参議院では12月12日否決。(会期最終日は12月25日) |
| 本文へ5 | 常会に東日本大震災関連として閣法が新たに26本提出されたほか、補正予算も3次まで編成されている(常会2、臨時会1) |
| 本文へ6 | 社会保障と税の一体改革関連法案の衆議院の審議開始は5月11日、6月15日の民自公の実務者合意を経て、衆議院通過は6月26日となった。8月9日には衆議院で内閣不信任を否決し(自民、公明が採決に参加せず)、参議院で可決成立は8月10日と衆参で3か月の日数を要した。 |
| 本文へ7 | 平和安全法制関連2法案の衆議院の審議は5月26日から7月16日まで、参議院では9月19日の本会議で可決成立した。参議院本会議は17日に始まり、野党は解任決議案、問責決議案、議長不信任決議案など5つの決議案を提出して抵抗し、19日未明になってようやく本案が可決された。(会期終了は9月27日) |


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